会社が銀行からの評価を上げる方法
会社が融資を受けられるかどうかや、金利等の融資条件は、銀行による信用格付によって決定されます。この信用格付は、決算書による定量的な評価と決算書以外の定性的な評価によって決定されますが、評価の大部分は決算書による定量的な評価によって決まってしまいます。
中小企業に対する融資については、ほとんどの金融機関がCRD(Credit Risk Database)を利用しており、そのデータを用いて構築されたスコアリングモデルを活用して定量的な評価をしています。このスコアリングモデルは、信用保証協会での保証料率区分の決定にも利用されており、また、中小企業庁や金融庁、日本銀行においてもCRDのデータ及びモデルが利用されています。
CRD(Credit Risk Database)とは、中小企業者の「財務データ」や「デフォルト情報」についてのデータベースであり、173の金融機関や信用保証協会が会員(2017年4月時点)となって取引先中小企業の経営データを提供し、一般社団法人CRD協会により集積されています。
2017年3月末時点では、18万件以上もの膨大な決算書データがCRDに蓄積され、このデータを基に、デフォルトの可能性を「評点」又は「デフォルト確率」(P/D:Probability of Default)として算出するスコアリングモデルが構築されています。
(参考)一般社団法人CRD協会のウェブサイト
CRD協会は、2017年5月から、CRDの膨大な情報を利用した「中小企業経営診断システムサービス(McSS)」という財務診断ツールを使ったサービス提供を開始しており、このシステムを使用して企業の信用力の位置づけと財務面の強み・弱みの把握、将来シミュレーションができるようになっています。
(参考)McSS(一般社団法人CRD協会のウェブサイト)
McSSの主な特徴
① 企業の信用力の位置づけが「CRDランク」「偏差値」「業種内順位」「都道府県内順位」として表示される
信用力の位置づけが数値として明確になることにより、銀行が自社をどうのように評価しているかを理解することができます。
② CRDモデルでの評価のカテゴリーごとに強みと弱みが表示される
会社の信用力を上げる原因と下げる原因を把握できるため、財務面での経営改善に役立てることができます。
③ 将来シミュレーション機能
McSSには将来シミュレーション機能が備わっており、経営改善活動を反映した将来の信用力の変化がどうなるかがわかるようになっています。
先に挙げたように、銀行の評価の大部分は「決算書の良し悪し」で決まってしまいます。この「決算書の良し悪し」は、必ずしも利益のみで判断されるものではなく、債務返済能力や成長性等、様々な指標を基に判断されますので、どの項目が会社の信用力の足を引っ張っているか、ボトルネックを見極めて財務改善を図っていくことが重要になります。
McSSは、日本最大の会社の財務データの集積であり、多くの金融機関が利用しているCRDをベースとした経営診断システムです。これを活用して現状で会社の財務面にどのような弱みがあるかを認識して、その弱みを改善させる活動を行っていくことが、銀行の評価を改善させる近道になると思います。
当事務所は、企業の財務面での改善支援に力を入れております。McSSのサービスが利用可能であり、これを活用した財務改善コンサルティングサービスも行っております。
自社の信用力の偏差値がどのくらいなのか、どうすれば現状の融資条件をもっと良いものに変えられるのか、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。